やすくに?

日本では「靖国問題」という本がベストセラーだそうで、ちょっと検索してみたら、amazon のレビューもおおむね好評のようですね。ベトナムにいるせいでどうしてもこういう話は気になります。ちなみに、ベトナム戦争当事者の合衆国はいまだに1ドルの賠償も払っていないし、そもそも「負けた」という言い方を半ば無意識に避けていて、クリントンが合衆国大統領としてはじめて訪越したときも「ベトナム戦争は両国共通の痛み」と言ったくらい。しかしベトナム人にしてみれば、ほとんど一方的に降りかかった大災難でしょう。ベトナム人の多くは口に出して合衆国の悪口を言うことはないですがね。ひとつには大国と小国という問題があり、そしてもうひとつは(こちらのほうがもっと強い理由ですが)、叩いた側と叩かれた側という問題があると思います。原爆だって、合衆国では「日本の降伏を早めてたくさんの兵士の命を救った」と積極的に評価する声も根強いそうです。「枯葉剤」の被害は現在進行形で、中部、南部には障害を持って生まれてくる子供が多いですが、もちろん、合衆国政府が何かするという話は聞いたこともありません。今日「カフェ・モ」という喫茶店でNHKの衛星放送を見ていたら、イラクで米軍に自爆テロと間違われて乗用車を銃撃されて子供を殺された父親が、「たとえ米軍が100万人いても必ず復讐してやる」とテレビカメラに向かって叫んでいました。日本国外にいるせいか時々強く思うんですが、「アメリカ人じゃなくてよかった」。本日のおすすめは、「ぼくたちの好きな戦争」小林信彦・著です。